2.5を初めて見に行って色々感じた話 MoM あんステ
映画化とは、原作の単なる再現とは違いますし、ストーリーの動画化でもありません。
先日、初めて2.5舞台を見に行きました。
厳密に言うと言うと20年近く前に「サクラ大戦歌謡ショウ」を見に行った事があるので2.5を見に行ったのとしては「初めて」では無いと言えるかもしれません。
ですが、「原作に出てくるキャラクターに対して、自分でも何と言っていいかわからない類の膨大な感情を持ち合わせた作品の、2.5舞台を見に行った」のは、初めてでした。
『あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ』~Memory of Marionette~』
私が普段使っているTwitterのアカウントはもう10年ぐらい使っているもので、自分の感覚としては「親戚に向けて話している」ような気持ちで話しているところがあるんですよね。
普段は気になる物ができると割とすぐにTwitterでその事について話す事が多い私なのですが、今回の舞台を見に行くきっかけになった人物達に関しては、「好き」…と言ってしまうのもなんだかちょっと違う気がするのですが、うーんなんと言うか、その人達について話す事は「親戚のおじさんおばさん達に、今している恋愛について話をする」みたいな気恥ずかしさがある感じ…?で… 「『誰か』には聞いてほしいけど、『その相手』はおじちゃんやおばちゃんでは無い」みたいな感じで、Twitterでは触れてこなかった…と言ったらなんとなく伝わるでしょうか…(逆に伝わらない…?) そのぐらい、「普段とは違う、並々ならぬ感情」を持ち合わせていたのです…
話を戻しまして…
私はめんどくさいタイプのオタクなので、原作付きの物が3次元化すると聞けばまず「それ、原作好きが喜べるタイプのやつか…?」と斜に構えるタイプの人間です。
記事の冒頭に引用させてもらった「映画化とは、原作の単なる再現とは違いますし、ストーリーの動画化でもありません。」という言葉に「そうだな」と思う私もいるのですが、「原作付きの作品を3次元化するのであれば、原作の雰囲気を壊さないでほしい」という価値観を根強く持っているというのも私だというのもまた事実です。
映画化と2.5舞台化では違う部分もあるとはわかりつつも、「別次元化」というくくりで考えさせてもらった場合。「映画版や舞台版」を見に行く人、には色々な物を求めていく人がいるのだと思います。「出ている役者さんが好きだから見に行く人」「監督が好きだから見に行く人」「原作が好きだから見に行く人」。そして「原作が好きな人」の中にも「なるべく忠実に原作をなぞってほしい人」もいれば「原作は発想に使われた程度でほぼオリジナルって言っちゃっていいぐらいに色々変わっちゃっても話として面白ければ良い人」なんかもいて、色々だと思います。
私は多分、「『私が』原作から感じている雰囲気を、感じたい人」なんだと思います。だから、それが感じられる「別次元化」は私にとって「好き」で「受け入れやすい」し、そうでないものは「好きじゃない」し「受け入れるのが難しい」。
そう言う意味で、原作に想い入れが深ければ深いほど「2.5舞台化を自分が受け入れられるかどうか」というのは、自分でも悩みました。
2次元のキャラクターを3次元の人間が演じる時、特にそれが舞台の場合、見た目をなるべく2次元に寄せようとするのが一般的だろう…
しかし私は「2次元キャラに寄せようとする結果生じる、不自然な形で固定されたウィッグ」が得意とは言えない…
そして「2次元で素敵なデザイン・造形が必ずしも3次元でも素敵という訳では無い」ので、「すごく似てはいるけれど素敵では無い人物」が生じることがあり、私自身がそれを受け入れられるのかどうか…
等々…悶々としました…
それでも、最終的には見に行く事に決めました。なぜなら、今回は私の思い入れのある人物達が主演であり、おそらくこんな事はこれからの人生の中でもう二度と無いだろうと思ったからです。
「行かなかった後悔より行った後悔」「距離はお金でどうにかなるけど過去はお金でどうにもならない」「実際の舞台に何を感じるかは、自分の眼で観るしかない」
ハロヲタでもあり、舞台やライブが好きな自分の経験から学んだ事達も背中を押しました。どんな気持ちになったとしても、それも一つの経験。見て感じてから、考えよう。そう思ってチケットを押さえました。
今回の公演は東京・京都・大阪・福岡・仙台公演がありました。東京と最終地は見たいなぁと思ったのですが、最終地は仕事の都合で難しそうだったのでとりあえず東京で2公演押さえました。ハロプロで推しの凱旋のために遠征する事はありましたが、舞台遠征はしたことが無かったのでまぁこんなものだろう、と思っていました。
が、結果的には関東勢の私、東京公演を見た後で大阪3公演を追いチケし、大阪公演が病気で中止になってしまった結果、急遽福岡で2公演を見たので、最終地のライビュも含めると計8回、今回の舞台を見に足を運びました。
全37回のうちの8回なので舞台ガチ勢の方から見れば全然だろうけども、舞台やライブを全然見ない人からすれば「そんなに行くの」という回数だと思います。大阪が開催されていたら福岡には行かなかったので、6回。それでも少なくはない回数かな、とは思います。それだけ、「見たい」と思わせてくれる何かが、今回の舞台にはあった。
普段原作付きの映画を見て「やっぱり見なきゃよかったなぁ…」と思う事が多く、元々2.5が得意という訳でも無い私が、なんで今回の舞台はハロプロでもやらなかった「観劇地方遠征」をする気にまでなったのだろう…と考えてみた結果を、いくつか書いてみたいと思います。
1.2.5のビジュアルを案外受け入れられた。と言うか主役の方が「本物」だった
宝塚やハロプロの舞台(あれも考えてみれば2.5?)で免疫がついていたのか、「動いている2.5のビジュアル」は思ったよりもすんなり受け入れられました。似合っている演者さんが多かったおかげもあると思います。
今回の主役は「ピンクのベリショで品があるけど線が細い訳では無い、フリルとレースを愛する気難しくて癖の強い美青年」という「おいおいこれ3次元では無理…やるとしても宝塚でやるしかないんとちゃうか…」というキャラクターだったんですが、「えっ、この方配役をして下さった方に早く、早く油田を……!!」と言いたくなるぐらい大変ピッタリな配役で、本当に感謝しかないですね…
2.ライブシーンが楽しかった
ハロヲタやら何やらの血が流れるわたくし。今回の舞台は「アイドル物」だったのでライブのシーンが挟まれていたのですが、それがすごく楽しかった…!やっぱり私は「ライブ」が好きなんだな…!!!と言うのを改めて教えてくれた舞台でした。
ユニットが4つ出ていたのでハロコン感というかジャニカン感と言うか、「色々な雰囲気が楽しめた」のも良かったです。可愛いの、優雅なの、絢爛なの、荘厳なの…一度の舞台でこれが一気に楽しめちゃうってすごくお得だよなと思いました。
私は正直ライブを見る時は緊張するんですよ。歌もダンスも、私の中での一定基準を超えない場合、一気に冷めてしまう事があるので…。ですが今回は冷めてしまう事なく楽しめて、ほっとしました…。単純に上手かった、というユニットもあれば「それ以外の補正がかかった結果楽しめた」ユニットもあって、あー、私は「上手い」以外の何かにも価値を見出してそれで楽しむ事もできる場合があるんだな~という事に気が付けたのは、自分でも発見でした。
欲を言えば!もっとガンガンコール入れたかったな!!!女性向けコンテンツだとあんまりない文化なのかもしれないけど!これハロコンだったら初演からがっつりコール入ってるなって思う曲があって、「叫びたい…!!」と思ってしまった…
3.結局「人」を好きになっちゃう
私はTHE YELLOW MONKEYとハロプロが好きで、それはもちろん歌や踊りが好きという事ではあるんですがそれだけが好きという訳じゃなくて、私の場合「彼ら、彼女ら」も含めて、好きなんです。そういう好きになり方をするタイプなんです。
今回の舞台は、最初はただ原作のキャラクターへの思い入れのみで見に行きはじめ、演者さん達の事はほぼミリ知らな状態でした。顔も全然覚えられていなかった。
不思議なんですけど、私は(多くの人がそうかな)静止画だけで見ていると人の顔を覚えるのがすごく遅いんですけど実際にその人と会うと静止画だけよりはだいぶ顔を覚えやすくなると言いますか、今回の舞台も見ているうちに自然と顔とお名前を覚え、毎回あるカテコ(とファンのレポ)で座組の雰囲気のかけらを感じ取らせていただき、そうなるとまぁ結局何と言うか、好きになっちゃいますよね、皆さんのこと…
特に今回は途中で演者さんが病欠になり急遽応援の演者さんが来てくれたりトークショーを開催してくれたりというイレギュラーな事態も発生し、たまたま私がその「急遽のトークショー」に居合わせた、というのも「好きになってしまった」大きな要因になったように思います… 私は「青春物語を見守らせてもらう」のが好きなタイプのハロヲタなので、まぁ当然そういう「ピンチをみんなで明るく乗り越えていこうとする若者、それを見守る先輩」なんていう展開は絶対に好きでしかなく… まぁ本当に、終わる頃には「皆さんが死ぬまで健やかに楽しく暮らせますように…」なんて、卒業していくハロメンに対して抱くような気持を抱いてしまいましたよね…すぐ人を好きになってしまうオタク…
4.主演のお二人の関係性が熱い…
【インタビュー】過去はなぞらず、新しい色を出す――山崎大輝×猪野広樹が『あんステ』に出演する意味 - ライブドアニュース(このインタビューの一番最後のページに関する話題です)
関係性厨の自覚のある私なので、例に漏れず今回の役者さん達に対しても勝手に「関係性」を感じて身悶えてしまう訳ですが…
主演のお二人が、役柄的には年上、年下なんですが実年齢は年下、年上だったり。「僕『俺についてこい!』みたいのとか、タイムキープをしっかりできるタイプじゃなんですよね~」な方と「俺が彼を座長にします!」な男前な方の組み合わせと思わせつつ、実際はでっかい包容力のある光タイプと盛り上げ飄々タイプに見えて繊細なタイプと…みたいな…ほんとににわかファンの勝手な印象なんですが、「おいおい…浪漫しか無ぇな…やめてくれよ…眩しくて目が眩んじまうぜ…」って感じでして…ただただ「何の所縁も無かった二人が『仕事』で出会って関係性を築いていく様…美しいな…」って拝ませていただきました…(自分がそういうのが好きだから「そういう枠」に彼らを押し込めてしまってるのかなって感じる部分もあるんですけどね…)
5.単純に「すごい」舞台だった
推しの贔屓目を抜いたとしても、主演お二人の演技、ライブシーンは圧巻でしたし、それ以外の場面でも胸が熱くなるような場面、ライブがいくつもありました。今までに色んなお芝居やライブを見てきて「良い」物には「普遍的な良さ」があると思っているのですが、今回の舞台にはその「普遍的な良さ」があったと思いますし、「今回の舞台だったからこその輝き」があったと思います。
だからこそ、原作を知らない「舞台やライブという物が好きな人」にも、今後見てもらえたらいいな~…!!!と思わずにはいられません。今回の舞台が「刺さる」層は絶対に存在すると私は確信している…!!!!!
6.役者さん達を通じてその世界観、キャラクターを知るのが楽しかった
【インタビュー】過去はなぞらず、新しい色を出す――山崎大輝×猪野広樹が『あんステ』に出演する意味 - ライブドアニュース(またもや、このインタビューの一番最後のページに関する話題です)
冒頭でも書いたんですが、私が3次元化した作品について求めるのは「原作の雰囲気を壊さないでほしい」ことでして。改めてインタビューを読んだらあっ、このお二人最初からその事については言及して下さっていた…!という事に気が付き、さらには
新しい色を出しながらも『あんステ』としてお客さんに認めていただけるようにしたいですね。それが2.5をやる意味だと思う。役者がやる意味も必要だし、お客さんに観ていただく意味も必要。そこはうまく折り合いをつけたい
とまでおっしゃってくれていた事にも気付き、「当たり前だけど役者さんてすごいな、ありがたいな…そこまで考えて演じて下さっているんだよなぁ…」と感動しました。
私はいわゆる「原作厨」的な要素を自分の中に持っていると自覚していて、「3次元化をする意味って何なんだろう?」という問いに対する答えが自分の言葉としては無かったんですが。
今回、主演の方がもう一人の主演のキャラクターの事を「守ってあげたくなる」と評した事があって。それが、自分の中には無いそのキャラクターへの評価だったのですごく衝撃だったんですけれども、その主演の方から見るとそのキャラクターはそういう風に見えていて、だからこそその方が演じる主演キャラクターが「愛に満ち溢れている」のを感じるんだろうなぁという事にすごく納得して、面白いな…と思ったんです。
私は原作者以外の方が「作った」ものは、たとえそれが「公式」であっても広い意味ではある意味「二次創作」だと思っていて、「その作り手さんの人生フィルターを通して見た、その作品に対する解」だと思っているんですが。今回の舞台も、「演者さんが感じたそのキャラクター」であり、「原作そのもの」ではないけれど、そもそも「100%原作のまま3次元化する」なんていう事は不可能な訳で、そうである以上「それでも敢えて3次元化する意味」をそこに持たせるとしたら、「生身の人間が、自分のこれまでの人生と自分の体を使ってそのキャラクターの人生を一時的に再現すること」なのかなと思って…
多分わかっている人からしたら「いや、そりゃそうでしょ。そんなの知ってるよって言うか今まで気付かなかったの?」っていう事だと思うんですが、私は今回の舞台でそれを「実感」できたし、2.5に限らず舞台ってそういう楽しみ方もあるんだなぁ…というのを知ることができました。ありがたいです。
私は文章や絵で創作をする事はありますが、そこに「体」を入れてみる事で新たに気付くこともたくさんあるんだろうなぁ、今後の自分の創作活動にも活かしてみたいなぁ、と思いました。
7.「今しかない」物に対する愛着
女性アイドルを推していると、「明日も推しがいるとは限らない」という事を痛感します。「応援できる時にできる限り応援する、愛を叫ぶ」のが大切だな、と日々感じています。
今回の舞台を追いかけたい、もっと応援したいと思うようになっていったのも、そんな気持ちからでした。初日を見た、私が好きなユニットを好きな人達が、舞台を絶賛している。オタクの方ならわかると思うのですが、「原作がむちゃくちゃ好きな人達が絶賛する」というのは中々の出来事です。これは期待して良さそうだな、と思いながらたまたま取れたチケットを手に2日目のソワレに行きました。始まる前、なぜか私がガチガチに緊張して唾が呑み込めなくて、始まってからも呆然としてしまって全然ペンライトが振れなかった…原作的に言うところの「何かすごいことがおこっている」のをもろに浴びてしまったんですよね。
アイドルグループのライブも1公演1公演が「その時しか見られない公演」で、そのメンバーでのライブは「今の時期しか見られないもの」です。でも、舞台ってそれよりもさらに期限が短くて、今回の舞台は2カ月しかない(それでも舞台としては長い方だと思うのですが)。今回のメンバーで見られるのは、これで最初で最後かもしれない。そう思うと、大阪のチケットを取って、大阪で見られなかったのが悔しすぎて、一つでも席を埋めたくて、弾丸福岡ツアーを決めました。
私は「終わりのあるもの」が好きです。大好きな物が終わってしまう、大好きな人と会えなくなってしまうのはつらいけど、でも「いつか終わってしまうんだ」っていう事を自覚しているからこそ、「今」を、「今目の前にいるその人」を、大事にしたいって思えるし、「別れがあるから出会いがある」っていうのを体感として知っているから、「悲しいけど、別れは『無かった』じゃない。『宝物箱」の中身がまた一つ増えただけだ!」っていう気持ちで次に向かって行くのが好きです。
今回の舞台も大好きで大好きで今はまだ当分余韻に浸っていたいけれど、でもまた私は新しい物も好きになるし、だからと言って今回の舞台の思い出が色褪せる訳じゃない。むしろいつまでもキラキラと輝いている事を、私は知っています。
8.短期間のお祭りだからこそ発生した、ファンの特別な熱量が楽しかった
2か月間、ファン同士でわっと駆け抜けたのが楽しかったです。
始まるまでの不安と高揚感、いざ始まってみての興奮、公演日に毎日上がってくる観戦レポ・感想、いてもたってもいられず追いチケをする人、それを見てやっぱり私もと追いチケをする人、布教活動にいそしむ人、全国公演だったからこそ日々をやりくりして遠征して楽しむ方々の様子、公演を通じて生まれた人と人との出会い、終わった後の寂しさと感謝を語り合うTL…そんなものが、すごくすごく楽しかった。ううん、今も楽しくて、幸せで。会った事の無い人達同士なのにどうしてこんなにあったかい気持ちになるんだろうな、そんな気持ちにさせてくれた事も含めて今回の舞台に感謝だなぁ…と思いました。
「元々2.5が得意という訳でも無い私が、なんで今回の舞台はハロプロでもやらなかった『観劇地方遠征』をする気にまでなったのだろう…と考えてみた結果を書く」はずだったんですが…そういう内容になっているかな…?
私にとっては一つの人生の記念になる舞台でした。ありがとうMoM。
ちょっとでも「へ~、そこまでいう舞台、どんななのかな?」と思った方にはさっそく明日(2019/2/17・日)の21時からね!ディレイ放送があるんで!2/25まではタイムシフト視聴もできるんでね!!へへ、よろしくお願いします!!(有料です!)
2/18の4:00まではアプリで原作ストーリーも読めます!敢えて未読で「なんかよくわからないけど莫大なエネルギーの物」を浴びてみるっていうのも素敵な体験だと思うよ!!
『あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ』 ~Memory of Marionette~最速ディレイ放送 - 2019/02/17 21:00開始 - ニコニコ生放送
6/7にはバクステも入ったBD、DVDも出るのでよろしく!!!!もし近くにMoM好きな人がいたら確実に買ってると思うので、興味ある素振りを見せれば光の速さで上映会してくれると思うよ!!!
『あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ』~Memory of Marionette~ Blu-ray&DVD
気持ちを書いたら少しだけすっきりしました。とは言えまだしばらくは余韻に浸っていると思うのですが。私が「余韻に浸る」って結構珍しい事なので、それだけ自分にとって大きな出来事だったんだろうなぁ、その揺らぎを大切にしよう…と思いました。
エンタメっていいな。好きなエンタメにたくさん「感謝」を示せるようになるためにも、日々の仕事、頑張ろう…!
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